CVポート埋め込み手術|田守クリニック|JR芦屋駅近く|外科・内科・日帰り手術なら田守クリニック

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医療コラム

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CVポート埋め込み手術

高齢化社会や在宅医療の推進などにより、皮下埋め込み型中心静脈カテーテル(CVポート)が必要とされるケースが増えています。

CVポートは、主に高カロリー輸液や抗がん剤治療を受ける際に使用されます。

皮下に完全に埋め込まれるカテーテルのため、退院後の在宅でも医療が継続して受けられ、日常生活を負担なく過ごすことができます。

治療を受けている方にとっては、治療のたびに針を刺される苦痛や血管への負担があると思います。

とくに、抗がん剤投与時には血管痛や炎症を起こすリスクもあります。

そのようなリスクから解放されて治療を続けることができることから、CVポートが選択されています。

今回は、田守クリニックで行っている日帰り手術のひとつ、CVポートについてご紹介します。

 

CVポートとは?

 

CVポートとは、中心静脈カテーテルのひとつで、正式には皮下埋め込み型ポートとも言われています。

皮膚の下に100円硬貨ぐらいの大きさの本体(ポート)と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)からできています。

 

ポートを埋め込む位置やカテーテルを挿入する位置は患者さんの状態によって選択されますが、当院では左右どちらかの前胸部(鎖骨下静脈)に埋め込みます。前胸部以外では、上腕や下腿などが選択される場合があります。

CVポートは、通常埋め込み手術を受けた翌日から使用できます。

使用可能回数は1,000~2,000回で、適切な管理をすれば感染率も低く、長期間使用できます。

CVポートの推奨留置期間は特にありません。基本的には、長期間体内に留置しても安全に使用できます。

不要になれば、挿入時と同じように日帰り手術で取り除くことができます。

造影剤注入が可能なCVポートを埋め込むため、ポートを使用して造影CT検査を受けられます。

 

CVポートの主な適応

 

・抗がん薬治療が必要な場合

・高カロリー輸液の点滴など、長期の輸液管理が必要な場合

・在宅や老人保健施設などで、輸液管理が必要な場合

・末梢静脈の確保が困難もしくはすぐにルートが閉塞(へいそく)してしまう場合

・患者の状態や環境から医師が必要と判断した場合

 

CVポート埋め込み手術

 

・田守クリニックでは、日帰り手術で行います。

・手術時間はおおよそ30分~1時間で終了します。(器材の準備時間やリカバリー時間は除く)

・局所麻酔や静脈麻酔(鎮静剤)を使用し、痛みを最小限に抑えながら手術します。

・超音波(エコー)やCアームと呼ばれる外科用レントゲン装置で位置を確認しながら、カテーテルを挿入します。

・ポートを埋め込んだ部分の皮膚は少し盛り上がる程度で、それほど大きく目立つことはありません。

・ポートを埋め込むための傷口は3~4㎝程度、カテーテルを挿入する部分には1㎝程度の傷口ができます。

イメージ画像

X線移動型装置Cアーム(レントゲン移動型装置)

 

 

日帰り手術の流れ

 

受診

診察後、手術の日程を決定します。医師から手術についての説明後に同意書にサインをいただきます。

診察では、お薬やアレルギーの有無の確認をします。

中止する必要のあるお薬がある場合は、医師の指示に従って中止していただきます。他の病院や診療所で処方された薬があれば、内服しているお薬が確認できるように、お薬手帳などをお持ちください。

手術前に必要な検査(血液検査・胸部レントゲン検査・心電図検査)を受けていただきます。

手術当日の流れをクリニカルパスという計画表を用いて、看護師が説明します。

 

手術当日

14時~17時までが手術時間です。基本的に14時に来院していただきます。

昼食のみ絶食していただきます。

静脈麻酔(鎮静剤)を使用するため、手術当日の通院は自動車などの運転はお控えいただきます。

検査着に着替えていただいた後、手術室にご案内します。

抗生剤の点滴を開始し、心電図や血圧計などを装着します。

手術器材の準備ができ次第、手術開始となります。

 

手術後

手術後は、しばらくリカバリースペースでお休みいただき、しっかり覚醒した状態でご帰宅いただきます。

 

※通院が困難な患者様について

在宅療養されていて外出が困難、または何らかのご事情で何回も受診することができない患者様に関しましては、事前にご家族様のみ受診していただき、必要な術前検査などは手術当日に行うことを検討いたします。

14時~17時までは、手術を受けられる患者様の専用時間となっていますので、介護タクシーやストレッチャーでのご来院も可能です。

 

合併症について

合併症が起きたとしてもそのほとんどが一時的な合併症ですが、なかには追加で外科的処置が必要になる合併症もあります。

 

出血 皮下出血 動脈穿刺(血腫形成)

まれに静脈近くの動脈に針があたることで、動脈を傷つけて出血を起こす可能性がありますまた、皮下出血や血腫が形成された場合は皮膚があざのように青黒くなりますが、時間の経過とともに消失していきいます。ただし、カテーテル挿入時には、超音波で確認(ガイド)しながら穿刺するため、動脈穿刺が起きる可能性はかなり低いといえます。

 

気胸 血胸

まれに鎖骨下静脈を刺すときに肺を傷つけることがあります。この時、胸壁と肺との間に空気がたまることを気胸、血液がたまることを血胸といいます。気胸、血胸が起きた場合はすみやかに外科的処置を行います。

 

感染

皮膚の下に埋め込んだポートやカテーテルは体にとって異物であるため、傷口やカテーテル感染を起こす可能性があります。感染状態がひどい場合には、CVポート自体を抜去することがあります。

 

血栓

カテーテル留置部に血栓(血のかたまり)を形成する可能性があります。留置した部分から末梢の腫脹やむくみ、静脈の怒張などの症状がある場合は追加治療が必要になる可能性があります。

 

カテーテルピンチオフ

中心静脈カテーテルが第一肋骨と鎖骨の間に挟まれて圧迫されることで、カテーテル自体が損傷したリ閉塞(へいそく)したりすることをカテーテルピンチオフといいます。カテーテルピンチオフの発生率は0.1~1%の範囲といわれており、カテーテルピンチオフによる損傷がカテーテル断裂にまで至る確率は発生率0.1~1%のうち40%であることが示唆されています。

 

アレルギー

手術のときに使用する抗生剤や麻酔薬などの薬剤によるアレルギー反応がみられることがあります。

特に過去に受けた治療で薬剤アレルギーを発症したことがある方は注意が必要です。田守クリニックでは、歯科治療で使用されるような一般的な局所麻酔薬を使用しています。

 

最後に

 

田守クリニックでは、在宅医療で経静脈投与を必要とする方や化学療法目的で中心静脈ポート造設を必要とされる方に日帰り手術でCVポート埋め込み術を行っています。

日帰り手術の場合、入院して手術を行う場合と比べて入院費がかからないため、料金も半額程度となります。

カテーテルの先端を心臓に近い静脈に留置することで、末梢ルート(末梢静脈)では静脈炎を起こす可能性のある高カロリー点滴や、点滴漏れを起こした場合には重篤な皮膚障害を引き起こすおそれのある抗がん剤治療が負担なく投与できるようになります。

CVポートのメリットは、簡単にそして確実に点滴の針を刺すことができる点です。

高カロリー点滴でなくても、長期的な点滴投与が必要な場合や血管が細くて末梢ルートがとりにくい方、またはすぐに閉塞(へいそく)してしまうなどでお悩みがある方がCVポートを選択されるケースもあります。その場合、腕の血管に何度も刺し直すことによる心配がないため、身体的苦痛や精神的負担が軽減されます。

在宅での治療が可能になることもメリットのひとつです。

CVポートは体内に完全に埋め込まれるため、外見上もそれほど目立つことはなく、日常生活にほとんど影響しません。適切な管理や定期的なメンテナンスにより、合併症を起こすリスクは減少し、長期的な使用が可能になります。

在宅医療が推進されている現在、芦屋市だけでなく近隣市からのご依頼も受けています。

CVポートを必要とする患者様がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

また、CVポートの適応のある患者様を診療されている施設、医療機関様からのご依頼も承っております。

 

手術室